家具を捨てる時に「銭湯に捨てに行く」という選択肢はあるのか?

men in the sauna
目次

〜古材リサイクルと銭湯文化の今〜


目次

  1. はじめに
  2. 家具の廃棄とリサイクルの現状
  3. 銭湯での古材(廃材)利用の歴史
  4. 現在の銭湯での古材利用状況
  5. 銭湯が古材を受け入れるメリット・デメリット
  6. 家具を銭湯に持ち込む際の注意点
  7. 実例紹介:京都の銭湯と古材リサイクル
  8. 法的・社会的な観点
  9. まとめ
  10. 参考リンク・出典

1. はじめに

不要になった家具をどのように処分するかは、多くの人が悩むテーマです。粗大ごみとして自治体に出す、リサイクルショップに売る、知人に譲るなど様々な選択肢がありますが、「昔は銭湯が廃材を燃料として受け入れていた」という話を聞いたことはありませんか?

本ページでは、「家具を捨てる時に近くの銭湯に捨てに行く手段もあるのでは?」という視点から、銭湯と古材リサイクルの歴史、現状、そして実際に家具を銭湯に持ち込むことが可能なのかを詳しく解説します。


2. 家具の廃棄とリサイクルの現状

家具などの大型ごみは、一般的に「粗大ごみ」として自治体の回収を依頼するのが一般的です。回収には費用がかかり、また分別や運搬の手間も発生します。近年、リサイクル意識の高まりとともに、廃棄物の減量や再利用が推進されていますが、現実には多くの家具が焼却や埋立て処分されています。

一方で、木製家具などは「古材」として再利用できる可能性もあります。特に、燃料としての利用や、建築資材への再生利用など、さまざまなリサイクル方法が模索されています。


3. 銭湯での古材(廃材)利用の歴史

かつて日本の銭湯は、薪や廃材を燃料としてお湯を沸かしていました。昭和30年代以前は、ほとんどの銭湯が薪を使っており、リフォーム工事や建物の解体などで発生した木材も、地域の銭湯に持ち込まれ、燃料として再利用されていたのです(加賀妻工務店ブログより)。

この時代、廃材を持ち込むと映画の招待券などの「お礼」がもらえることもあり、地域コミュニティの中で資源循環が成立していました。

focus photography of a ignited firewood
Photo by Lum3n on Pexels.com

4. 現在の銭湯での古材利用状況

4-1. 京都府の事例

京都府内の公衆浴場(銭湯)は、かつてはすべて薪でお湯を沸かしていましたが、現在では240軒中9軒(平成14年時点)しか薪を利用していません(京都荒木工務店 古材レポートより)。

その理由は、

  • 薪の輸送や保管場所の確保が難しい
  • 重油やガスの方が手間がかからない
  • 経営の高齢化・家族経営化
  • 公的補助金の不足
    などが挙げられます。

4-2. 薪を利用している銭湯の実態

薪を利用している銭湯は、工務店や木箱屋、解体業者などから古材を調達しています。9軒中6軒が古材を利用し、特に太い柱や梁などが薪として適しているそうです。ただし、合板や塗装材、竹などは煙が多く出るため使えません。

1日に軽トラック半分〜1杯分の薪を使い、冬場は重油と併用することもあります。薪の調達や切断、掃除など手間も多いですが、燃料費の節約や健康維持、環境貢献などの理由から続けている銭湯もあります。


5. 銭湯が古材を受け入れるメリット・デメリット

メリット

  • 燃料費の節約
  • 廃材の有効活用(リサイクル)
  • 地域コミュニティの活性化
  • 薪で沸かしたお湯のファン獲得(体の芯まで温まると好評)

デメリット

  • 保管・運搬・切断などの手間
  • 煙や灰の処理が必要
  • 合板や塗装材など使えない素材も多い
  • 騒音や近隣への配慮
  • 薪を使う銭湯自体が減少傾向

6. 家具を銭湯に持ち込む際の注意点

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Photo by Paula Schmidt on Pexels.com

6-1. すべての銭湯が受け入れているわけではない

現在、薪を燃料にしている銭湯は全国的にごくわずかです。特に都市部では重油やガスに切り替わっているケースがほとんどで、個人が不用家具を持ち込んでも受け入れてもらえる可能性は極めて低いのが現実です。

6-2. 持ち込める素材に制限がある

  • 無垢の木材(柱・梁など)はOKの場合がある
  • 合板、ベニヤ、塗装材、接着剤を使った家具、竹製品などはNG
  • 金属やプラスチックなどは絶対不可

6-3. 事前の確認が必須

持ち込みを検討する場合は、必ず事前に銭湯に連絡し、受け入れ可能かどうか、どのような条件があるかを確認しましょう。無断で持ち込むのは絶対に避けてください。


7. 実例紹介:京都の銭湯と古材リサイクル

7-1. 京極湯の事例

京都市内の「京極湯」では、山科の工務店から古材を無料で輸送してもらい、薪として利用しています。主に太い柱や梁を使い、細かい材は焚き付けに。開店2時間半前から薪をくべ、閉店までボイラーのそばで火の番をしています。

薪利用の理由は経済的な面だけでなく、体を動かすことで健康維持にもつながるという考えも。薪で沸かしたお湯は「体の芯まで温まる」と利用者からも高評価です。

7-2. 昔の銭湯と廃材リサイクル

かつては、リフォーム工事や解体で出た廃材を銭湯が回収し、燃料として使っていました。廃材を持ち込むと映画の招待券などの特典がもらえることもあり、地域の資源循環に一役買っていました。

しかし、現在は銭湯の数自体が減少し、燃料も重油やガスが主流となっています。産業廃棄物として処分しなければならないケースが増え、処分費用も高騰しています。


8. 法的・社会的な観点

8-1. 廃棄物処理法との関係

廃材や家具を「燃料」として銭湯に持ち込む場合、廃棄物処理法の規制を受ける可能性があります。特に事業者から出る廃材は「産業廃棄物」とみなされ、適切な処理が求められます。個人が家庭ごみとして持ち込む場合も、銭湯側が受け入れる体制や許可がなければ違法になる場合があります。

8-2. 社会的な意義

古材のリサイクルは資源循環や環境保護の観点から非常に意義があります。銭湯文化の継承や地域コミュニティの活性化にもつながりますが、現代社会では安全性や法令順守がより重視されるため、かつてのような自由な持ち込みは難しくなっています。


9. まとめ

  • 昔は銭湯が廃材を燃料として受け入れていたが、現在はごく一部の銭湯しか薪を利用していない。
  • 家具を銭湯に持ち込んで燃料として使ってもらうには、無垢の木材に限るなど素材の制限がある。
  • 事前に銭湯に確認し、受け入れ可能かどうかを必ず確認する必要がある。
  • 廃棄物処理法など法的な規制にも注意が必要。
  • 銭湯文化と古材リサイクルは地域資源循環の好例だが、現代では実現が難しい場合が多い。
  • 家具の処分に困った場合は、リサイクルショップや自治体の粗大ごみ回収、専門業者への依頼も検討しましょう。

10. 参考リンク・出典


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