公開日: 2025年12月某日 / カテゴリ: 引越し現場, 関西エリア, コラム
こんにちは。
いまだ運送です。
日々の現場には、ちょっとしたハプニングや思わぬ出来事が混ざり込んでいます。引越しの仕事というものは、ただ荷物を運ぶだけではありません。そこには「環境」「タイミング」「人」「空気感」が複雑に影響しあい、毎日がささやかなドラマの連続です。
今回は、神戸市中央区から大阪市北区までのお引っ越しの際に起きた出来事を中心に、「現場で働く運送業者のリアルな一日」をストーリーとして綴ってみようと思います。
■1. 朝の神戸市中央区、静かに始まるはずだった
作業は神戸市中央区の住宅街から始まりました。通常、朝の引越しは空気が澄んでいて、街も動き始めたばかりで落ち着いた雰囲気があります。
車を停め、道具を降ろし、段取りを確認します。毎回のことながら、この瞬間は引越し業者にとって大切な始まりの合図です。
お客様に挨拶をし、部屋を確認し、荷物の種類や搬出ルートを丁寧にチェック。そしてトラックの後方を開け、積み込みスペースを整え——
「さぁ、積み込み開始!」
……のはずでした。
しかしそのとき、視界の端に、異様な赤い光がチカチカと点滅しているのが見えました。
■2. 赤色灯が点滅する警察車両——距離わずか10メートル
道路脇。私たちのトラックのすぐ近く。向こう側の車線に、警察車両。
しかも——赤色灯がしっかり点いている。
乗っているのは巡査ではなく、いわゆる“交通”でもない。雰囲気的にはなにかの確認、もしくは事情聴取のようにも見えなくもない。
警察車両を横目に見ながら、思ったことは一つ。
「え…なにこれ……めちゃくちゃ怖いやん……」
仕事中、余計なことは気にしない。それがプロなのですが、さすがにこの状況は心臓に悪い。
荷物を持って外へ出るたびに、赤色灯の赤い光が視界に差し込む。トラックまでの動線と警察車両の位置が妙に近い。
「もしかして、お客様の家の誰かが…?」「いや、偶然やろ…」「でもタイミング良すぎひんか?」
などなど、ささやかな不安が広がりました。
■3. 現場の緊張感と、作業を続けるプロのメンタル
こうした場面は、運送業をやっていると実は珍しくありません。事故対応、交通取り締まり、近隣トラブル、110番通報の対応など、警察が動いている現場に出くわすことは一定の確率であります。
しかし、荷物の積み込み中に赤色灯が停車している距離10メートルというのは、なかなかのインパクトです。
スタッフはというと、けっこうビビりながらも、さりげなく平常心を装います。
お客様に不安を与えないプロの姿勢
なぜなら――お客様に不安を与えないため。
実際、引越しの現場では「作業員の雰囲気」は意外と重要です。
- 慌てない
- 焦らない
- 淡々とこなす
- でも丁寧
- 周囲に気を配る
その姿勢は、荷物にも、お客様にも、周囲の環境にも伝わります。
赤色灯がどうであれ、やることは変わりません。
大型家具を慎重に運び、家電には保護材を巻き、トラックの中では重さのバランスを考えて配置していく。
とはいえ内心は 「なんで今日に限ってこんな近くに警察車両おんねん…!」 とツッコミを入れたくなる状況でした。
■4. 作業中もチラつく“あの光”——しかし現場は着実に進む
警察車両が視界の端で点滅していると、作業に集中していてもどうしても意識してしまいます。
赤色灯というものは、“緊急性”“事件性”“非日常”を象徴する光です。それが自分の働いている現場のすぐそばにあると、「何が起きているんだろう」と不安が付きまといます。
とはいえ、私たちの使命はお客様の荷物を安全に運ぶこと。気持ちを落ち着かせ、順番どおり淡々と荷物をトラックへ積み込んでいきました。
作業が進むにつれ、警察車両の乗員の方がこちらをちらっと見てくる瞬間もあり、そのたびに 「いや、ワシらちゃいますよ…ただの引越しなんで…」 と心の中で静かに弁解。
この“無言の視線の交差”が、なんとも言えない緊張感を生みます。
■5. いざ出発——神戸から大阪へ
全ての荷物を積み込み終え、最後にお客様へ確認。鍵を閉めていただき、トラックの後方をしっかり確認し、乗り込みます。
ふと周囲を見渡すと、まだ赤色灯は光っていました。
「あ、まだおるんや……」という気持ちを胸に、ゆっくりと発進。
神戸の街を抜け、三宮を過ぎ、阪神高速へ。ここまで来ると、さっきの緊張感がだんだん遠のいていきます。
■6. 目的地・大阪市北区へ到着
大阪市北区はマンションも多く、引越しのご依頼の多いエリアです。積み下ろしは神戸に比べてスムーズで、道幅も確保しやすい。
作業を進めていると、神戸の赤色灯のことは半分忘れかけるほど集中していました。
荷物を一つずつ搬入し、家具を指定の位置へ。家電を設置し、最後に傷の有無を確認して作業完了。
お客様から 「ありがとうございます。本当に助かりました」 というお言葉を頂き、ほっと胸を撫で下ろします。
■7. 最後に
今回のご依頼、誠にありがとうございました。
神戸市中央区から大阪市北区への引越しは、距離こそあるもののスムーズに進行できました。ただ、作業中の“赤色灯”は久々にビビる出来事でした。
しかし、どんな状況でも作業は正確に、安全に、丁寧に。それがいまだ運送のスタイルです。
これからも、予期せぬ場面に遭遇しながらも、皆さまのお荷物を大切に運び続けます。
ご利用ありがとうございました。

