衣類の処分方法、H&M「Close the Loop」徹底解説

pile of shirts hanged in shirt rack

〜サステナブルファッションの最前線と古着回収プログラムの全貌〜


目次

目次

  1. はじめに
  2. H&M「Close the Loop」プログラム概要
  3. 衣類リサイクルの現状と課題
  4. H&M古着回収サービスの流れ
  5. 回収後の衣類の行方とリサイクル工程
  6. リペア・ケアの重要性とH&Mのサポート
  7. レンタルサービスの取り組み
  8. H&Mサステナビリティの全体像
  9. Q&A
  10. まとめ

1. はじめに

ファッション業界は大量生産・大量消費の象徴とされ、環境負荷の大きさが世界的な課題となっています。その中で、H&Mは「Close the Loop(クローズ・ザ・ループ)」という循環型ファッションへの取り組みを推進しています。本記事では、H&Mの古着回収サービスを中心に、リサイクルの現状、具体的なプロセス、消費者ができること、そして今後の展望まで、表やQ&Aを交えながら徹底的に解説します。


2. H&M「Close the Loop」プログラム概要

項目内容
プログラム名Close the Loop(クローズ・ザ・ループ)
開始年2013年
主な目的衣類のリサイクル・リユースを促進し、廃棄物削減と資源循環を実現する
実施地域世界中のH&M店舗
参加方法不要な衣類を店舗の回収ボックスに持ち込む
参加特典次回使えるデジタルクーポン
回収対象ブランド・状態問わず全ての衣類や布地
回収後の流れ提携企業による仕分け・リサイクル

3. 衣類リサイクルの現状と課題

世界の衣類廃棄の実態

  • 現在、衣類に使われる素材のうちリサイクルされているのは「1%未満」
  • 年間数千万トンもの繊維製品が埋め立て処分されている
  • ファッション業界は世界のCO₂排出量の約10%を占めるとされる

主な課題

課題詳細
リサイクル率の低さ技術的・コスト面の課題、回収インフラ不足
消費者意識の課題「捨てる」習慣が根強く、リサイクルやリペアが浸透していない
素材の複雑さ混紡素材や装飾品の多用によりリサイクルが困難
サプライチェーンの複雑さグローバルな供給網での管理が難しい

4. H&M古着回収サービスの流れ

サービス利用のステップ

ステップ内容
1不要な衣類や布地をまとめる(ブランド・状態問わずOK)
2最寄りのH&M店舗に持参
3店舗スタッフに声をかけ、回収ボックスへ投入
4デジタルクーポンを受け取る(次回買い物時に利用可能)

回収対象品

  • シャツ、パンツ、ドレス、コートなどの衣類全般
  • タオルやシーツなどの布地
  • 穴あき・汚れ・破れなど状態不問

5. 回収後の衣類の行方とリサイクル工程

H&Mの回収した衣類は、日本では「ファイバーシーディーエム株式会社」などの提携企業へ引き継がれ、以下の3つのカテゴリーに仕分けされます。

カテゴリー処理内容活用例
1. 再利用可能な衣類クリーニング・仕分け後、世界各地で古着として再販売古着ショップ、チャリティバザーなど
2. 再利用困難な衣類リメイクや清掃用品(ウエス等)への加工工業用ウエス、リメイク品
3. 繊維リサイクル細断・繊維化し、断熱材や新素材の原料として再利用自動車・建築用断熱材、リサイクル糸

流れを図で解説

[店舗回収] → [仕分け] → [再利用/リメイク/繊維リサイクル] → [新たな製品や資源へ]

6. リペア・ケアの重要性とH&Mのサポート

衣類ケアの重要性

  • 衣類の環境負荷の10%以上は「消費者の手元に渡った後」に発生
  • 頻繁な洗濯や廃棄が環境に悪影響を及ぼす
  • 長く大切に着ることで、廃棄量や資源消費を削減できる

H&Mのサポート

  • 公式オンラインストア「Take Care」ページでケア方法を紹介
  • 洗濯・保管・修繕のコツを分かりやすく解説
  • 店舗でリペアサービスやケア用品の販売も実施(一部店舗)
サポート内容詳細例
オンライン情報提供洗濯方法、しみ抜き、アイロンがけ、簡単な修繕方法
店舗サービス裾上げ、ボタン付け、リペア用品販売(針、糸、パッチ等)

7. レンタルサービスの取り組み

ストックホルムでの試み

  • 2019年より、ストックホルムのH&M店舗で「レンタルサービス」を開始
  • コンシャス・エクスクルーシヴ・コレクションの一部アイテムをレンタル可能
  • 一度だけ着たいドレスや特別なアイテムを購入せずに楽しめる

レンタルのメリット

メリット内容
廃棄削減一度しか着ない衣類の購入・廃棄を防ぐ
多様なファッション体験購入せずに様々なスタイルを楽しめる
サステナブル推進循環型経済への貢献

8. H&Mサステナビリティの全体像

取り組み分野主な内容
素材のサステナビリティオーガニックコットン、リサイクルポリエステル等の使用拡大
生産工程の改善水・エネルギー消費削減、サプライチェーンの透明性向上
消費者参加型活動古着回収、リペア・ケア情報発信、レンタルサービス
循環型ファッションClose the Loopプログラムを軸に、衣類のライフサイクル全体で循環を目指す

9. Q&A

Q1. どんな衣類でも回収してもらえますか?

A. ブランドや状態を問わず、全ての衣類・布地が対象です。破れや汚れがあってもOKです。

Q2. 回収後の衣類はどこに行くのですか?

A. 提携企業で仕分けされ、再利用・リメイク・繊維リサイクルの3つに分類されます。状態が良ければ古着として再販売、難しければリメイクや断熱材等に活用されます。

Q3. 回収に出したらどんな特典がありますか?

A. 次回の買い物で使えるデジタルクーポンがもらえます。金額や条件は店舗・時期によって異なります。

Q4. 衣類を長持ちさせるコツは?

A. 洗濯の頻度を減らし、適切な方法で洗い・保管し、必要に応じて修繕しましょう。H&M公式サイトの「Take Care」ページが参考になります。

Q5. レンタルサービスは日本でも利用できますか?

A. 現時点ではストックホルム店舗限定ですが、今後拡大が期待されています。


10. まとめ

H&Mの「Close the Loop」プログラムは、ファッション業界のサステナビリティ課題に対し、消費者参加型の解決策を提供しています。古着回収サービスは、誰でも簡単に参加でき、衣類の再利用・リサイクルを促進。さらにリペア・ケアの啓発やレンタルサービスなど、多角的なアプローチで「廃棄ゼロ社会」を目指しています。

今後もH&Mは、素材調達から生産、消費、廃棄までの全プロセスで環境負荷低減に取り組み、消費者とともに循環型ファッションを推進していくでしょう。私たち一人ひとりの行動が、より良い未来につながります。

尼崎・西宮・伊丹・宝塚・川西・神戸・大阪など 単身引越専門 いまだ運送LINE

この記事を書いた人

目次