公開日: 2025年12月某日 / カテゴリ: 引越し現場, 神戸市, 人生の節目
おはようございます。いまだ運送です。
今回のお引越しは、神戸市兵庫区から神戸市須磨区まで。神戸の中でも、街の色が大きく変わるルートです。同じ神戸市内と言っても、兵庫区の港町らしい空気と、須磨区ののびやかな雰囲気には、まるで季節が変わるような違いがあります。
そして今回のご依頼は、**「独身寮から家族寮へ」**という、人生の節目にふさわしい内容でした。
お客様が勤められているのは上場企業。会社が用意する独身寮から、結婚後は家族寮へ移れるという、まさに“福利厚生のお手本”のような制度。「いやぁ、上場企業はやっぱり手厚いなぁ…」と、思わず心の中でつぶやいてしまいました。正直、軽トラック一台で営んでいるいまだ運送からすると、本当にうらやましい限りです。
■兵庫区・新開地の朝の空気から始まる引越し
出発地点は、兵庫区の中でも味わい深いエリア。新開地駅 の周辺は、昔ながらの商店や劇場文化が残りつつ、近年では若い世代の飲食店も増えてきている地域です。朝の空気は独特で、どこか人情のある下町の気配が漂っています。
荷物の搬出をしながら、寮の共用廊下を歩くと、「ああ、こういう場所から新生活が始まるんだな」と感じることがあります。部屋番号が並ぶ長い廊下、誰かの生活音、朝の支度の匂い。独身寮というのは、いつも**“これから頑張っていく人”**の空気で満ちています。
お客様もその一人でした。スーツケース、家電、生活道具──そして、これから先に向かうための少しの緊張と、ささやかな期待。
「今日でここを出るんだと思うと、ちょっと不思議な感じです」
そんな言葉とともに、寮を後にしました。
■兵庫区から須磨区へ──潮風を感じる道のり
兵庫区の街を出て、須磨区へ向かう道のりは、神戸の多様さをあらためて感じるルートでもあります。
新開地を抜け、湊川公園 の大きな楠木を横目に見ながら南下すると、すぐに神戸の中心部へ。大倉山 や 神戸大学附属中等教育学校 のある高台を遠くに眺めつつ、JRの線路沿いを走り抜けると、急に空が開けたように感じる瞬間があります。
その先には、須磨の景色が待っています。
須磨海浜公園駅 に近づくと潮の香りがして、道路沿いに広がる松林越しに青い海が見えてきます。この景色は、神戸市内とは思えないほどゆったりしていて、車窓から見るだけで気持ちが落ち着きます。
お客様は窓の外を見ながら、「ここに住むことになるんですねえ」と、少し恥ずかしそうに、でも嬉しさが隠せない笑顔でつぶやかれました。
■家族寮に着くと、そこには“新しい生活の匂い”があった
到着したのは、名谷の住宅エリア。須磨区といえば、やっぱりこの名谷の団地群です。広い敷地にゆったりと配置された建物、緑が多くて、どことなく昭和から続く穏やかな時間が流れています。
ファミリー層が多く、「ここから子どもの笑い声が聞こえてきそうだな」と感じるほど、温かい空気がありました。
家族寮は、独身寮とは違って、部屋の広さも設備も段違い。キッチンも明るく、リビングもしっかり広い。窓からの光もたっぷり入るので、荷物を運び入れながらこちらまで気持ちが明るくなります。
お客様が部屋の隅に立ち、笑顔でこう言われました。
「これから結婚生活が始まるんだと思うと、緊張しますね」
独身寮での生活を見届け、そして家族寮での新生活のスタートに立ち会う。こういう瞬間に携われることが、引越し屋としての喜びだとあらためて思います。
■上場企業の福利厚生の“パワー”を実感した瞬間
今回の引越しでは、上場企業ならではの手厚さも垣間見えました。
- 独身寮から家族寮へスムーズに移れること、
- 綺麗な住居が用意されていること、
- 何より、新生活の開始が企業によって温かく支えられていること。
正直に言うと、「いやぁ……うらやましい……」と、素直に思いました。
いまだ運送は軽トラック1台。福利厚生は……とくにありません(笑)。ですが、その代わりに、“必要な人に必要なだけのサービスを安く提供する”という強みがあります。
会社は違えど、お客様の暮らしに寄り添うという意味では、どちらも大事な役割なんだろうな、と感じました。
■須磨の街に流れる穏やかさと、これから始まる物語
搬入作業がすべて終わり、最後の確認をして外へ出ると、名谷の団地の間を、冬の柔らかい風が通り抜けていきました。
遠くから子どもたちの笑い声がして、近くのバス停には、神戸女子大学 の学生らしき方が並んでいました。こうした**“生活の音”**が、新しい家庭に寄り添ってくれるだろうと感じた瞬間でした。
お客様は深呼吸をひとつしてから、「本当にありがとうございました。いまだ運送さんに頼んでよかったです」と丁寧に頭を下げられました。
こちらこそ、です。
独身から家庭へ。生活が変わるその瞬間に立ち会えたことは、引越し屋として何よりの誇りです。どの荷物も、これからの人生の一部をつくる大事な道具。その運搬を任せていただけたことに、ただただ感謝です。
今回もご利用、誠にありがとうございました。

