3度目の引越しに込められた「SOSと希望」― 鶴見区から東住吉区へ、隣人トラブルと向き合った記録 ―

公開日: 2025年12月某日 / カテゴリ: 引越し現場, リピーター, 隣人トラブル

こんにちは。

いまだ運送です。

大阪市鶴見区から大阪市東住吉区まで。今回のご依頼は、私にとって特別な意味を持つ“3回目”のお引越しでした。

3度目のご依頼というのは、単に「常連さん」という意味ではありません。「その方が歩んできた時間の流れを、節目ごとに見守らせてもらった」という重みがあります。そして今回は、その節目に宿る“事情の深さ”に、胸が締め付けられるものがありました。


目次

■引越理由は「生活環境からのSOS」

1回目のご依頼は、階下の住人からの嫌がらせが理由でした。生活音に対するクレーム、執拗なインターホン、ドア前への置き紙──。表に出てこない日常ストレスが積み重なり、お客様にとって「住み続けることが怖い」と感じるほどの心理的負担になっていました。

2回目のご依頼は、隣人からの嫌がらせ。騒音、目線、監視、執拗な文句。どれも外からは見えませんが、そこに暮らしている本人にとっては、毎日心を削るような圧力です。

今回の3回目の引越は、「次こそ安心して生活ができる場所へ」という願いが込められたもの。

引越業は荷物を運ぶ仕事ですが、こうしたケースでは“荷物以上のもの”を運んでいるのだと実感します。

  • お客様が抱えてきた不安や緊張、
  • 積み上がった疲労、
  • そして小さくても確かな希望。

すべてが段ボールの外に漂っていました。

■荷造りの様子で分かる「心の傷と期待」

荷物を拝見していて、「何度も気持ちを切り替えてきたんだろうな」と感じる瞬間が何度もありました。

生活必需品だけが効率的にまとまっている段ボール。余計なものを持たず、リセットするような引越。これは、“精神的に限界を迎えた人”の部屋の特徴でもあります。

けれど一方で、新しく買われた家電や整えられた収納グッズ、丁寧に巻かれたクッション材を見ると、「今度こそ新しい生活をちゃんと築きたい」という強い意思も伝わってくる。

段ボール一つひとつが、しんどさと前向きさの両方を抱えているようでした。

■引越業者から見て、嫌がらせによる転居は“珍しくない”

実は、隣人・階下住人・上階の騒音・集合住宅特有のトラブルによる引越は、少なくありません。

一般的に言われにくいですが、住まいの悩みの中で「ご近所トラブル」は最上位クラスのストレスです。

  • 上階や下階からの騒音
  • 過干渉・監視
  • 道での嫌味
  • 不当な文句
  • 集合住宅ルールを盾にした攻撃
  • ペット問題
  • 生活音での衝突
  • 悪質なクレーム
  • 無言の圧力

これらは、外からは見えず、相談先も限られ、警察を呼ぶほどでもないというグレーゾーンの悩みです。

しかし、心には確実に傷が残ります。

だからこそ、こういう理由での引越は、「逃げる」のではなく「生き直す」ための大切な選択なのです。今回のお客様も、まさにその流れの中におられました。

■鶴見区から東住吉区へ──変わる景色、変えたい気持ち

鶴見区での搬出時、お客様が小さくつぶやいた言葉がありました。

「今度こそ、落ち着いて暮らしたいんです」

短い一言ですが、その裏には長い時間の積み重ねがあります。

荷物を運び終えた部屋の空気は、どこか冷たく、早く離れた方がいいと感じさせる独特の緊張感が残っていました。

一方、搬入先の東住吉区の部屋は、まだ家具が一つもないのに、「ここから良い流れが始まるかもしれない」と思える明るさがありました。

窓の位置、陽の入り方、風の抜け方。住宅の雰囲気というのは、こういう小さな違いが大きく影響します。

お客様が玄関を開けた瞬間、ほんの少し肩が下がったのが分かりました。

「あ、ここなら暮らせるかもしれないな」

そんな安心がにじんだ表情でした。

引越屋として、こういう瞬間に立ち会えるのは本当に嬉しいことです。

■私が心がけたこと

荷物を運ぶという作業そのものは、いつも通り丁寧に行います。

しかし今回のようなケースでは、それ以上に心の負担を少しでも軽くできるような距離感を大切にします。

  • 作業の進行状況を細かく伝える
  • 無駄な音を極力出さない
  • スピードより安心感を優先する
  • 不安そうな表情に気付いたら言葉を一つ添える

「荷物を運ぶだけ」の仕事ではなく、その背景にある思いを理解しながら動くこと。それが、いまだ運送の姿勢です。

■3回目の引越を終えて思うこと

荷物を全て搬入し終え、最後にお客様が深く深く息を吐いた瞬間がありました。

その表情は前回よりも、前々回よりも、ずっと穏やかでした。

「今度の場所はきっと大丈夫ですよ」

そう声をかけた時、お客様は小さくうなずき、「そうだといいなあ……」と、ほんの少し笑いました。

人生の安定は環境に大きく左右されます。家は、ただの建物ではなく、心を守るための“一番身近な場所”です。

だからこそ、「安心して暮らせる家に出会えるまで」という願いは、とても大事なもの。

今回の引越は、その願いがまた一歩前へ進んだ日だったのだと思います。


■最後に

3回のご依頼を通して、お客様の歩んできた時間を少しだけ見せてもらいました。

  • 誰にも言えない苦しみ、
  • 表に出ないストレス、
  • 引越という決断に踏み切る勇気。

そして、もう一度「安心できる生活」を取り戻したいという強い思い。

どうか、今回の東住吉区での暮らしが、静かで穏やかで、心配のない毎日でありますように。

次の引越理由が、“幸せな変化”でありますように。

ご利用、誠にありがとうございました。

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