公開日: 2025年12月某日 / カテゴリ: 引越し現場, 住まい選び, 西宮市
こんにちは。
いまだ運送です。
今回のご依頼は、西宮市内から西宮市内へのお引っ越し。距離としては近いものの、環境が大きく変わるタイプのお引越しでした。
お客様が住んでいたのは、オーナーさんが同じ建物の1階に住んでいる物件。そして、今回の新居は、オーナーさんがすぐ近くに住んでいる別の物件。
正直に言うと──「今の僕なら住まないけど」そんな感想が頭をよぎりました。
でも、それはあくまで“僕個人の感覚”。世の中を見渡せば、“オーナーさんが近くにいる物件の魅力”をしっかり感じて選ぶ方も少なくありません。
引越の現場に立つと、毎回そう思います。価値観は本当に人それぞれ。「魅力」の基準も違えば、「安心」の基準も違う。今回のお客様もまさにそうで、この物件に決めた理由を聞くと、「なるほど」と感じることばかりでした。
■「オーナーさんが近い=不便」のイメージは本当か?
僕自身の素直な本音として、オーナーさんが近くに住んでいる物件は“気を遣う”、“自由度が低い”という印象を持っていました。
ですが、今回のお客様は逆でした。
「近くにいてくれたほうが助かることも多いんですよ」
この言葉にはっとしたのを覚えています。
例えば──
- 設備の不具合があればすぐに相談できる
- 建物のルールが行き届いて安心
- 変な住民が入ってきにくい
- 放置自転車やゴミ問題が少ない
- 管理人常駐ほど堅苦しくない
こうした点を“安心材料”と考える人は、実は多いのです。
たしかに、トラブルが起きても連絡スピードが段違い。遠方のオーナーより、近くにいるオーナーのほうがレスポンスは早い。これは実際に引越作業をしていても感じる部分です。「なるほど、人によって“住みやすさ”ってこうも違うんだな」と改めて学んだ現場でした。
■入居者の暮らしと、オーナーの存在
荷物を運びながら、新旧どちらの物件でもオーナーさんと顔を合わせました。お客様とオーナーさんの会話も自然で穏やかで、まさに“ご近所さん”という雰囲気。
例えば、
- 「○○さん、荷物多かったでしょ。気をつけてね」
- 「また何かあればすぐ言うてな」
そんな声かけが飛び交い、引越現場特有の緊張感がほぐれていく瞬間が何度もありました。
僕が「今なら住まない」と言ったその裏側には、“自由でいたい”という自分の性格の問題があるのかもしれません。でも、このやりとりを見ると、オーナーの存在を心強く感じる人がいるのも納得です。
■荷物運びより印象に残った、住まいの価値観
今回の引越しでは特別に重い家具があったわけでもありません。道幅が狭くて苦戦したわけでもありません。作業そのものはスムーズに進みました。
それより何より印象に残ったのは、“暮らしの価値観”の違い。
引越しをしていると、「なぜこの物件を選んだのか」という理由を必ず耳にします。
- 駅近だから
- 実家に近いから
- 子どもの学区のため
- 在宅ワークのための広さ
- 環境が静かだから
- ペット可だから
- 日当たりがいいから
どれもまったく違う理由なのに、どれもその人にとっては“正解の理由”。
今回のお客様の場合、“安心できる管理体制”という視点で住まいを選ばれていました。
自分ならどうか、という物差しだけでは測れないものが、住まい選びにはあります。引越の仕事は荷物を運ぶのが本業ですが、こうした“人の背景”に触れることで、日々いろいろな気づきを与えてくれる仕事でもあります。
■「今の僕なら住まないけど、人によったら魅力的なんですね」
この一文を、少し噛みしめながら帰り道を運転しました。
僕の中には、「オーナーの目が気になるんじゃないか」「生活に干渉されるんじゃないか」という偏ったイメージがあったからです。
でも、お客様の反応は真逆。その物件を選ぶ理由もはっきりしている。価値観の違いとは、本当に面白いものですね。
ある意味、“他人の本音”を聞くことができるのも引越業ならではの特権なのかもしれません。
■引越しは荷物だけでなく「生き方」も運ぶ仕事
作業が終わり、お客様から「ありがとうございました。助かりました」と言っていただきました。
その瞬間、ただ荷物を運んだだけではなく、その人の“新生活の一歩”に触れたんだと感じます。
住まいは性格を映し、物件の選び方は生き方を映す。
今回のように、“オーナーが近くに住んでいる物件を選ぶ理由”を直接聞けたことも、僕にとっては大きな収穫でした。自分の中の偏った価値観がほぐれ、「そんな考え方もあるんだ」と素直に思えたからです。
引越の仕事は、毎回ただの作業ではなく、人の選択に触れ、暮らしに触れ、そして学びがある仕事だと実感します。
■さいごに
今回の西宮市内でのお引越し、ご利用いただき、本当にありがとうございました。
人それぞれの“住まいの基準”を知るたびに、引越業の奥深さを感じます。
今後も、「この人に頼んで良かった」そう思っていただける仕事を続けていきます。

