〜サステナブルファッションの最前線と古着回収プログラムの全貌〜
目次
- はじめに
 - H&M「Close the Loop」プログラム概要
 - 衣類リサイクルの現状と課題
 - H&M古着回収サービスの流れ
 - 回収後の衣類の行方とリサイクル工程
 - リペア・ケアの重要性とH&Mのサポート
 - レンタルサービスの取り組み
 - H&Mサステナビリティの全体像
 - Q&A
 - まとめ
 
1. はじめに
ファッション業界は大量生産・大量消費の象徴とされ、環境負荷の大きさが世界的な課題となっています。その中で、H&Mは「Close the Loop(クローズ・ザ・ループ)」という循環型ファッションへの取り組みを推進しています。本記事では、H&Mの古着回収サービスを中心に、リサイクルの現状、具体的なプロセス、消費者ができること、そして今後の展望まで、表やQ&Aを交えながら徹底的に解説します。
2. H&M「Close the Loop」プログラム概要
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| プログラム名 | Close the Loop(クローズ・ザ・ループ) | 
| 開始年 | 2013年 | 
| 主な目的 | 衣類のリサイクル・リユースを促進し、廃棄物削減と資源循環を実現する | 
| 実施地域 | 世界中のH&M店舗 | 
| 参加方法 | 不要な衣類を店舗の回収ボックスに持ち込む | 
| 参加特典 | 次回使えるデジタルクーポン | 
| 回収対象 | ブランド・状態問わず全ての衣類や布地 | 
| 回収後の流れ | 提携企業による仕分け・リサイクル | 
3. 衣類リサイクルの現状と課題
世界の衣類廃棄の実態
- 現在、衣類に使われる素材のうちリサイクルされているのは「1%未満」
 - 年間数千万トンもの繊維製品が埋め立て処分されている
 - ファッション業界は世界のCO₂排出量の約10%を占めるとされる
 
主な課題
| 課題 | 詳細 | 
|---|---|
| リサイクル率の低さ | 技術的・コスト面の課題、回収インフラ不足 | 
| 消費者意識の課題 | 「捨てる」習慣が根強く、リサイクルやリペアが浸透していない | 
| 素材の複雑さ | 混紡素材や装飾品の多用によりリサイクルが困難 | 
| サプライチェーンの複雑さ | グローバルな供給網での管理が難しい | 
4. H&M古着回収サービスの流れ
サービス利用のステップ
| ステップ | 内容 | 
|---|---|
| 1 | 不要な衣類や布地をまとめる(ブランド・状態問わずOK) | 
| 2 | 最寄りのH&M店舗に持参 | 
| 3 | 店舗スタッフに声をかけ、回収ボックスへ投入 | 
| 4 | デジタルクーポンを受け取る(次回買い物時に利用可能) | 
回収対象品
- シャツ、パンツ、ドレス、コートなどの衣類全般
 - タオルやシーツなどの布地
 - 穴あき・汚れ・破れなど状態不問
 
5. 回収後の衣類の行方とリサイクル工程
H&Mの回収した衣類は、日本では「ファイバーシーディーエム株式会社」などの提携企業へ引き継がれ、以下の3つのカテゴリーに仕分けされます。
| カテゴリー | 処理内容 | 活用例 | 
|---|---|---|
| 1. 再利用可能な衣類 | クリーニング・仕分け後、世界各地で古着として再販売 | 古着ショップ、チャリティバザーなど | 
| 2. 再利用困難な衣類 | リメイクや清掃用品(ウエス等)への加工 | 工業用ウエス、リメイク品 | 
| 3. 繊維リサイクル | 細断・繊維化し、断熱材や新素材の原料として再利用 | 自動車・建築用断熱材、リサイクル糸 | 
流れを図で解説
[店舗回収] → [仕分け] → [再利用/リメイク/繊維リサイクル] → [新たな製品や資源へ]
6. リペア・ケアの重要性とH&Mのサポート
衣類ケアの重要性
- 衣類の環境負荷の10%以上は「消費者の手元に渡った後」に発生
 - 頻繁な洗濯や廃棄が環境に悪影響を及ぼす
 - 長く大切に着ることで、廃棄量や資源消費を削減できる
 
H&Mのサポート
- 公式オンラインストア「Take Care」ページでケア方法を紹介
 - 洗濯・保管・修繕のコツを分かりやすく解説
 - 店舗でリペアサービスやケア用品の販売も実施(一部店舗)
 
| サポート内容 | 詳細例 | 
|---|---|
| オンライン情報提供 | 洗濯方法、しみ抜き、アイロンがけ、簡単な修繕方法 | 
| 店舗サービス | 裾上げ、ボタン付け、リペア用品販売(針、糸、パッチ等) | 
7. レンタルサービスの取り組み
ストックホルムでの試み
- 2019年より、ストックホルムのH&M店舗で「レンタルサービス」を開始
 - コンシャス・エクスクルーシヴ・コレクションの一部アイテムをレンタル可能
 - 一度だけ着たいドレスや特別なアイテムを購入せずに楽しめる
 
レンタルのメリット
| メリット | 内容 | 
|---|---|
| 廃棄削減 | 一度しか着ない衣類の購入・廃棄を防ぐ | 
| 多様なファッション体験 | 購入せずに様々なスタイルを楽しめる | 
| サステナブル推進 | 循環型経済への貢献 | 
8. H&Mサステナビリティの全体像
| 取り組み分野 | 主な内容 | 
|---|---|
| 素材のサステナビリティ | オーガニックコットン、リサイクルポリエステル等の使用拡大 | 
| 生産工程の改善 | 水・エネルギー消費削減、サプライチェーンの透明性向上 | 
| 消費者参加型活動 | 古着回収、リペア・ケア情報発信、レンタルサービス | 
| 循環型ファッション | Close the Loopプログラムを軸に、衣類のライフサイクル全体で循環を目指す | 
9. Q&A
Q1. どんな衣類でも回収してもらえますか?
A. ブランドや状態を問わず、全ての衣類・布地が対象です。破れや汚れがあってもOKです。
Q2. 回収後の衣類はどこに行くのですか?
A. 提携企業で仕分けされ、再利用・リメイク・繊維リサイクルの3つに分類されます。状態が良ければ古着として再販売、難しければリメイクや断熱材等に活用されます。
Q3. 回収に出したらどんな特典がありますか?
A. 次回の買い物で使えるデジタルクーポンがもらえます。金額や条件は店舗・時期によって異なります。
Q4. 衣類を長持ちさせるコツは?
A. 洗濯の頻度を減らし、適切な方法で洗い・保管し、必要に応じて修繕しましょう。H&M公式サイトの「Take Care」ページが参考になります。
Q5. レンタルサービスは日本でも利用できますか?
A. 現時点ではストックホルム店舗限定ですが、今後拡大が期待されています。
10. まとめ
H&Mの「Close the Loop」プログラムは、ファッション業界のサステナビリティ課題に対し、消費者参加型の解決策を提供しています。古着回収サービスは、誰でも簡単に参加でき、衣類の再利用・リサイクルを促進。さらにリペア・ケアの啓発やレンタルサービスなど、多角的なアプローチで「廃棄ゼロ社会」を目指しています。
今後もH&Mは、素材調達から生産、消費、廃棄までの全プロセスで環境負荷低減に取り組み、消費者とともに循環型ファッションを推進していくでしょう。私たち一人ひとりの行動が、より良い未来につながります。
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